株式会社においては、株主名簿を作成し、本店に備え置くことが会社法上で義務付けられています(会社法第121条、第125条第1項)。
会社の規模や業種に関わらず、すべての株式会社に求められる法的義務ですので、万が一、「株主名簿?作っていないなー」という経営者の方がいらっしゃいましたら、すぐにでもその整備を進める必要があります。
法的義務があるという以外にも、会社の変更登記を申請する際に、多くの場合に株主リストの添付が要求されるようになり、株主名簿が株主リスト作成の前提資料となるため、実質的にも株式会社の運営に欠かせない帳簿といえます。
逆にいえば、株主名簿が整備されていれば、株主リストは容易に作成することができます。
株主名簿の記載事項
株主名簿に記載する事項は次の通りです。
・株主の氏名又は名称及び住所
・株主の有する株式の数
・株式を取得した日
・株券発行会社である場合には、株券番号
この他にも、株式に質権を設定すると、その質権者の情報が記載事項となるなど、特殊なケースもありますが、基本事項は以上の4点です。
株主名簿の形式
そして、株主名簿の記載の方法は特に定められていないので、どのような形式で作成してもかまいません。
紙の帳簿に手書きでもいいですし、表計算ソフトで名簿を作成し、データを入力して保存しても構いません。
株主名簿の形式としては、大きく分けて二種類、一覧形式の名簿と、個別形式の名簿が広く使われています。
一覧形式というのは、株主全員の記載事項を一覧にして表形式でまとめたものです。
株主があまり変化しない会社であれば、一覧形式の株主名簿だけでも十分だと思います。
一方、個別形式というのは、株主ごとにカードを作るイメージです。
株式の異動のたびに、その日付と取得または譲渡した株式数を管理できるので、株式の譲渡等が頻繁に行われる場合は、個別形式で作成しておくことも必要かもしれません。
一覧形式と個別形式を両方作成する場合には、表計算ソフトなどでデータを連携させておけば、管理がスムーズになります。
株主名簿の整備の手がかり
もし、万が一、株主名簿がきちんと整備されていない、ということがあれば、必ず整備を進め、その後は株式の異動の都度、内容を更新していくようにしましょう。
まずは、会社の定款を確認します。設立時の発起人と、それぞれに設立時に割り当てられた株式数が記載されていると思います。
また、法人税申告の際に必要となる、申告書の別表二「同族会社等の判定に関する明細書」という書面に、株主名や住所、議決権数などが記載されていますので、株主名簿を作成する際、情報の手がかりとなる書類といえます。
もっとも、別表二に記載されているのは、同族会社等の該当性判断に必要となる情報だけですので、必ずしもすべての株主の情報があるとは限らない点に注意が必要です。
株主名簿は、会社運営のために非常に重要となる書類です。
なるべく、そのときの情報を実体通りに反映させ、しっかり管理していれば、登記申請の際もスムーズにリストが作成できて安心です。
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